蒼空のファンタジア ~プログレと幻想趣味~

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ふちなしのかがみの底なしの淵

今日は先週読んだ
『ふちなしのかがみ』辻村深月
(角川書店)2009年6月30日初版
について

ふちなしのかがみふちなしのかがみ
(2009/07/01)
辻村 深月

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2004年 23歳のときに『冷たい校舎の時は止まる』
メフィスト賞を受賞しデビューした作者による幻想ホラー短編集

デビュー作は学園ミステリーであることと 長編過ぎるということで
食指が動かなかったのだが
この短編集は『踊り場の花子』の冒頭に書かれた

「幽霊を見る人は、それを見るだけの理由を持つ。
 目の前にあるのは、あなたを映す鏡である。
 ――これを裏切りと思うかどうかは、あなた次第だ」

という一節を見て 読みたくなった
以下それぞれの感想

『踊り場の花子』
小学校の七不思議のひとつ「花子さん」を自由研究の題材にしたさゆり
じつはクラスでいじめを受けていた彼女は
ひとりで階段掃除をしているときに見知らぬ少女に声をかけられる

夏休みの小学校で日直のためひとり出勤している男性教諭・相川
そこに2か月前教育実習に来ていた大学の後輩チサ子が
音楽室に置き忘れたというあるものを取りにやってくる…

「トイレの花子さん」のヴァリエーションがモチーフ
のどかでなごやかな情景が少しずつ不気味に変容していく様は
なかなかうまいと思う
ただ途中の推理小説のような会話シーンはやや興ざめ
この内容にしてはちょっと話が長過ぎる感じもする
でも 終盤の 言葉のモザイクがばらばらと舞い落ちるような
イメージの崩れていき方はかなり好みだ

『ブランコをこぐ足』
『アルプスの少女ハイジ』のオープニングのブランコ
高く舞い上がるブランコから落ちて死ぬ少女みのり
死の直前 彼女がかかわっていた「キュービッド様」

みのりの級友たちの証言で話は進んでいく
最後に 以前みのりと仲がよかった茜が校庭を見ながら
撤去されたブランコのことを思い出していると
そこに死の間際のときのみのりの思考が混入してきて
錯乱の中した描写の中 物語が閉じられる

精神錯乱的カタストロフィはこの短編集の特徴のようだ

特に自分が気に入った作品
『おとうさん、したいがあるよ』
ではストーリィの前半からその錯乱状態に放り込まれてしまう
いや 錯乱というより思考がねじれた状態というべきか

この作品は怪奇小説というよりも不条理小説で
死体のある風景が日常的な普通の出来事と同じレベルで語られ
他にはちょっとない奇妙な違和感が味わえる
この一篇は自分の志向にかなりピッタリきた
(普通の読者には意味不明な作品にしか見えないだろうけど)

表題作
『ふちなしのかがみ』
鏡が未来を映すという都市伝説がモチーフ
恋する少女の心が次第にこれも錯乱した心理に崩れ落ちて行く

雨に濡れた黒と赤のイメージを見るような
典型的なサイコ・ホラーだが
妄想のつのっていく怖さがよく描けているし
音楽ネタや小道具の絡め方に若手女流作家らしさが出ている

『八月の天変地異』
ここまでの作品とは毛色が異なる
ノスタルジックで心温まる幻想短編
ごく簡単に言えば 主人公が空想の中で膨らませて行った架空の友人が
窮地の主人公を助けて…という話だが
若手の女流作家がここまで少年らしい少年の世界を
描けているのというのに感心した

そういえば 最後にじわっと泣かせるような話がくる
TVの『世にも奇妙な物語』的構成というのは
一緒に併読した朱川湊人の『都市伝説セピア』もそうだった


全体的に悪くない
朦朧とした作品が好きな自分には なかなか楽しめた
Amazon風に点数つければ星3.5かな

え~と プログレにつなげよう
「かがみ mirror」 だったら
「21世紀の精神異常者~ミラーズ」!?
うわ 出た 定番中の超定番!

…いやここは もっとホラーのイメージ出して
「ガブリエルの鏡 The Mirrors Of Gavriel」にしましょう

スウェーデンのエルヤーナス・トレッゴート AlgarnasTradgard
(このバンドはかなりお気に入り)
『悦楽の園 Framitden Ar Ett Svavande Skepp, Forankrat I Forntiden』(1972)
9曲目(ボーナス・トラック/ライヴ録音)
さすがにAmazonにはないみたい…

エルヤーナス・トレッゴート『悦楽の園』

初期タンジェリン・ドリームも思わせる
サイケデリックでスペイシなナンバー
とりとめなく混沌としていてちょっと怖い感じは
意外とこの『ふちなしのかがみ』に合っているかも?
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この記事のコメント

中々面白そうな短篇集ですね。
本屋で見かけて買いたい衝動に駆られたりしなかったら、文庫化されたときに買いたい短篇集ですね。
きょうは倉阪鬼一郎の『すきま』という長篇を読んでいますが、ほんとに怖い。
国内の小説は読みやすくていいですね。でもストーリイは海外のものの方が好きですが。
それにしても『ふちなしのかがみ』は印象的なタイトルですね。
ファンタシーも混じっているような印象のタイトルに感じられるのですが、実際はどうなんでしょう。
これからも、国内の作品を紹介してくださると嬉しいですね。
saveでしたー。
2009-12-26 Sat 20:54 | URL | save #-[ 内容変更]
saveさん、どうも、ありがとうございます~。
こちらこそsaveさんのブログに触発されて、怪奇小説を読み返したり、
新たに注文したりする楽しみが倍・倍・倍増しています。
やはり、同好の方がいらっしゃるというのは嬉しい限りです。

『ふちなしのかがみ』はただの怪談でなく、
確かにファンタジー的な味わいを感じます。
怪異な現象よりも心理的な面の方に怖さのある、
女性らしい優れた作品集だと思いました。

倉阪鬼一郎さんは、怪奇小説ブックガイド・エッセイの
『夢の断片、悪夢の破片』を持っていますが、
倉坂氏本人の小説はまだ読んだことがありません。
この機会に読んでみたいですね。

今後もまた、いい作品を読んだら紹介したいと思います。
2009-12-26 Sat 23:39 | URL | progfanta #-[ 内容変更]
こんにちは。同じ本の感想記事を
トラックバックさせていただきました。
この記事にトラックバックいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。
2010-05-05 Wed 18:24 | URL | 藍色 #-[ 内容変更]
トラックバックありがとうございます!
このトラックバックというのが未だによくわかっていない私ですが、
こちらからもトラックバックさせていただこうと思います。
よろしくお願いします。
2010-05-08 Sat 22:23 | URL | progfanta #-[ 内容変更]
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ひややかな恐怖が胸に迫る。 青春ミステリの気鋭が初めて封印を破った現代の怪談。 おまじないや占い、だれもが知っていた「花子さん」。 ... …
2010-05-05 Wed 17:36 粋な提案
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